シーリングっていうけれど……
みなさん、「専攻医募集におけるシーリング」ってご存じですか?
これを理解して頂くには、医師養成のスケジュールから述べないといけませんね。
さて、医師は、6年間の学部(大学)卒業後、医師国家試験を受験します。みごと合格すると、2年間の初期研修を受けます。ま、この段階では半人前ってとこでしょうか。初期研修終了後、自分が何科医になるか考え、各大学・基幹病院で募集している3~5年の専攻医養成コースに入ります。専攻医コース終了後、19基礎領域の専門医試験をうけ、晴れて専門医になります。これで、いっぱしの医者って感じですね。
では、自分の専門、つまり、何科の医者になるかは、いつ決めるんでしょうか? たかはし先生のような「年寄り医師」は、医学部卒業時に決めていたのですが、いまは違います。専攻医コースを選ぶ時です。
さて、何科の医者になるかは、誰かに決められるのでしょうか? ま~、たかはし先生の時代は、卒業前になると、突然こわ~い先輩がやってきて、「よう、たかはし、お前は整形外科で決まりやな。」と言われたり、「明日、泌尿器科の教授室に来いよ。ちゃんとハンコもってこいよ。」とか言われたりしました。ただ、最後に決めるのは自分です。つまり、自由に選べました。ま~、日本国憲法第22条第1項で職業選択の自由が保障されていますから、当然です。しかし、政府は、昨年医師法を改正し(2026年4月施行)、医師の偏在をふせぐという名目で、「○○県では、これ以上〇〇科の専攻医を募集しちゃダメ。」と、決められることにしちゃいました。これが、「専攻医募集におけるシーリング」です。
ま~、東京をはじめとした大都市に医師が偏在し、田舎には医者がいなくなっていることは問題だと思いますが、若い医者の自由を、国家権力が奪うってのは、全体主義・軍国主義の再来にような気がして、恐ろしくもあります。そもそも、憲法違反ですよ。これ、ほんとひどい話しです。
さて、こういう話題がでると、気になるのは母校:奈良医大です。奈良県では、以下の診療科が規制されるようです。
⑴ 小児科:奈良医大小児科学教室は、もともと血友病研究の世界的フロントランナーであり、また、近年は代替血液の研究も進んでいます。アクティビティのある診療科・教室に人があつまるのは、悪いことじゃないと思いますが……。国家権力からすると、これもケシカランことなのでしょうね。
②整形外科:奈良医大は1965年に、本邦初の切断指手術を行った病院です(執刀医は玉井先生:僕も薫陶を受けました)。以来、整形外科は巨大医局となり、多くの優秀な外科医を排出しています。これも、国家権力からすると、これもケシカランことなのでしょうね。でもね、整形外科医局は、奈良県だけじゃなくて、周辺の自治体にも、多くの医師を派遣してるんですよ。それがいけないことだというんですか?
③放射線科:奈良医大はIVR(血管内治療・画像下治療)の実施件数が多く、多くの若手が研鑽をつんでいます。これがあだになったのかな。放射線医学教室の教授は、部活の先輩(田中さん)。怒ってはるやろな~。穏やかなひとやけど・・・。
なんか、釈然としませんね。
一方、兵庫県は、①小児科医 ②皮膚科医 ③眼科医 ④耳鼻科医 ➄麻酔科医だそうです。麻酔科医が余ってるって……。僕もカウントに入ってんのかな~。
今日(1月23日)、衆議院が解散されます。政治向きの発言は控えたいと思いつつも、若い医師たちが、日本国憲法第22条第1項で保障されているはずの職業選択の自由を保障されない世の中になっていることを知って頂き、政権選択選挙に臨んで欲しいと思う今日この頃です。
元麻酔科医 たかはし ……いまは緩和医療科医…… でも、麻酔科の専門医・指導医は維持してるよ… 国には「兵庫県にはもういらないよ。」と言われているけど…







