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ビギナ-のための画像セミナ-(旧研修医画像セミナ-)in spring

医学生のみなさん、こんにちは。

放射線科のF(エフ)と申します。

2025年5月のブログ担当をいたします。

 

先日ZOOM配信にて行われましたビギナ-のための画像セミナ-(研修医画像セミナ-)について書かせていただきます。

この画像セミナ-は、岡山大学放射線医学教室が主催されており、毎年3回開催されています。主に救急画像診断についての講演で、救急外来を担当する初期研修医の先生に大変役立つ内容となっています。最近では岡山大学医学部の学生の皆さんも配信を聴講されているとのことです。

 

今回は、「病歴から考える肺病変の鑑別」と「見落とし症例から学ぶ頭部救急画像診断」の2講演ありました。演者の先生は、岡山大学病院の槇本怜子先生と岡山赤十字病院の左村和磨先生で、明日から役に立つ疾患について、詳しく講演していただきました。

槇本怜子先生の講演では、気管支肺炎、肺胞性肺炎(大葉性肺炎)、肺水腫、PCP肺炎、間質性肺炎の鑑別、間質性肺炎合併の肺癌、器質化肺炎パタ-ンの鑑別、COVID-19肺炎、薬剤性肺炎(アミオダロン肺障害など)、放射性肺臓炎、多発肺結節/腫瘤の鑑別疾患など多数の症例を呈示していただきました。左村和磨先生の講演では、急性硬膜下血腫、慢性硬膜下血腫、硬膜外血腫(頭頂骨骨折あり)、少量のくも膜下血腫(浅大脳縦裂部位)、脳膿瘍の単純CT、巨大なクモ膜嚢胞が背景にある脳挫傷、基底核の病的石灰化、特発性硬膜下血腫(大脳鎌や小脳テントの高吸収域)、自己免疫性脳炎のCT、小児の外傷性くも膜下血腫(シルビウス裂の少量の血腫)、脳槽部の少量のくも膜下血腫、MRIの拡散強調画像で描出されない超急性期脳梗塞など多数の症例を呈示していただきました。

救急診療では、画像が診断の決め手になる場合が多く、姫路聖マリア病院で初期研修をされる際には、是非この画像セミナ-を聞いていただいて、明日への診療に役立てていただければと思います。

 

今回のセミナ-を拝聴して、知っておくと役に立つのではないかと感じたポイントを2つほど挙げます。

特発性肺線維症(IPF)の急性増悪の時のCTでのすりガラス影が、時にウイルス感染やニューモシスチス肺炎が鑑別となることがありますが、画像での鑑別方法として、特発性肺線維症(IPF)の急性増悪では、正常肺と間質性陰影の境界部分にすりガラス影が出現するので、この画像所見がみられたときには、間質性肺炎の急性増悪をより強く疑うということです。

脳梗塞の発症直後ではMRIでは異常所見はみられず、発症1時間くらい経過してから拡散強調画像で高信号に現れます。今回呈示していただいた症例では、拡散強調画像では異常信号域なしで、中大脳動脈のわずかな血栓がFLAIRにて点状の高信号を呈していたのが唯一の画像所見でした。

初期研修では、救急の頭部CTを見る際には、earl CT signを見逃さないことが大事ですが、あとから振り返って画像をみてみると、hyperdense MCA signがあったということもあり、頭部CTをみる場合には、常日頃から中大脳動脈の濃度差をみる習慣をつけることが大事であるということです。

 

医学生のみなさんにおかれましては、医師国家試験に向けて頑張っておられるかと思います。体調管理には、くれぐれもお気をつけください。

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